会社設立コラム

株式会社の設立パターンは二つ【発起設立と募集設立の違いについて】

会社設立

株式会社を起こす場合、設立方法は二つあります。一つは「発起設立」で、もう一つは「募集設立」です。

本コラムではそれぞれの特徴について解説いたします。会社設立をお考えの方はぜひ参考にしてください。

発起設立とは

発起設立では、設立時に発行される株式の全部を発起人が引受けます。要するに、発起人のみが株主となり、発起人以外から株主を募集しません。

株式会社の基本的な設立方法であり、事業を始める起業家の多くがこの方式を採用しています

募集設立とは

募集設立では発起人以外からも出資者を募ります。発起人は株式の一部を引き受け、残りの設立発行株式を引き取る方を他から募集します。(発起人は必ず1株以上の株式を引き受けるので、設立時発行株式全部を募集できません。)

発起人以外からも資金を集められるため、うまくいけば資本金が潤沢になる可能性もあります。ただしその反面、発起人以外にも株式引受人がいるため、必要な書類や手続き数も多くなるデメリットがあります

募集設立は比較的大きな会社や知名度のある個人や会社が、会社設立をする際に用いられるケースが多いようです。基盤がしっかりしていたり、ある程度の知名度があれば、出資者も集まりやすいからです。(逆に募集設立によって、出資者・資金を集められる見込みがないのであれば、あまり意味を成しません。)

発起設立と募集設立の違い

(1)手続き

前述したように、発起設立と募集設立では設立時の手続きも異なってきます。

例えば募集設立だと、資本金の払込みは取り扱い金融機関に払込保管証明書の発行を依頼しなければなりませんが、発起設立では代表となる発起人の銀行口座に払込みすれば良いのです。証明も払い込んだ銀行口座の通帳コピーで足ります。

また、発起設立では発起人の同意さえ得られれば、数々の事項を決定できるので、迅速に手続きが進みます。一方、募集設立では株式引受人がいるので、「創立総会」を実施し、話し合いをしなければなりません。

創立総会とは、発起人と株式引受人の合意を得るための意思決定機関であり、株主総会の前身にあたる重要なものです。

このように、発起設立と比較して、募集設立は大変面倒で時間もかかります

(2)役員の決定方法

株式会社では役員を定めなければなりません。

発起設立の場合には、役員の決定も発起人の話し合いで行います。しかし、募集設立の場合は前述した創立総会で議決を経ます

創立総会は、議決権を持っている株主が議決権の過半数以上出席します。役員決定においては、出席した株主の議決権の3分の2の多数決によって決定します。

選択するための指標

(1)会社規模

個人から法人化するような場合は、多くの場合において発起設立がおすすめです。発起設立は募集設立と比べて手続きが簡単ですし、設立までの手間もかかりません。書類や会社実印が整っていれば、数日で設立することもできるでしょう。

個人から法人化の場合の他にも、非公開会社の中小企業等であれば、発起人や取締役も少数ですから、発起設立が良いでしょう。

対して、大規模な会社を設立しようとする場合は、募集設立が向いています。理由として、発起人だけでは出資を賄うことができないケースがあるからです。

募集設立によって、資金を広く集められるのであれば、意味はあります。(募集設立によって、出資者・資金を集められる見込みがない場合はお勧めしません。)

(2)出資者の数

発起設立の場合は、発起人全員分の実印押印や、印鑑証明の書類が必要となりますが、募集設立であれば不要です。

地方や海外などに出資者がいる場合や、人数が多い場合は募集設立によってメリットを受けられるでしょう。

まとめ

株式会社の設立方法を紹介しました。基本的な事項として、募集設立は手間も費用もかかるので選択する人は少ないです。

設立時から第三者を入れることはほとんどありませんし、出資者を募集したところで資金を集められる見込みもありません。

発起設立の方が募集設立よりも手続きが簡易的なので、小規模で株式会社の設立を検討されているなら、発起設立を選びましょう。

判断に悩む場合は弊法人までお気軽にご相談ください。メリット・デメリットを含めたうえで最適な方法をアドバイスさせていただきます。手続きの代行もさせていただきますので、設立までスムーズに進みます。


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執筆者紹介

眞崎 正剛
眞崎 正剛税理士眞﨑正剛事務所 社会保険労務士法人眞﨑正剛事務所
東京都町田市生まれ、神奈川県相模原市在住。

慶應義塾大学商学部卒
大学卒業後、東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)勤務を経て
平成27年独立開業。
相模原地域を中心に、多くの企業の会社設立を支援。多数の講演実績。
出版書籍に
「会社と家族を守る事業の引き継ぎ方と資産の残し方ポイント46」