経営者や個人事業主の方であれば、毎年大きなタスクとしてやってくるのが「確定申告」です。令和5年(2023年)分の確定申告は、2024年3月15日(木)が締切でしたが、無事に終わりましたでしょうか。
今回は、これから創業する方に向けて、確定申告の流れについて改めて解説いたします。
確定申告の手続きの流れ
確定申告とは、一年間の収入や支出を正確に計算し、税金を納めるか還付を受けるための重要な手続きです。対象となる税は「消費税」「所得税」「相続税」などですが、一般的に事業に関係しているのは、消費税と所得税の申告です。
まずは、大まかに確定申告の流れを把握しましょう。
1. 確定申告前の準備
確定申告をスムーズに進めるためには、事前の準備が大切です。確定申告の期間は、例年2月16日から3月15日までの約1か月しかありません。期日が迫ってから慌てて準備する人がいますが、通常の業務と並行するのは非常に大変ですので、日頃から準備しておくことが大切です。
- 事業に使った経費などの領収書をまとめる
- 取引関係書類(請求書や見積書、注文書など)をまとめる
- 各種控除に必要な証明書などをまとめる
- 青色申告を行う人は、「所得税の青色申告承認申請書」を提出する
- e-Taxで申告する人は、マイナンバーカードの取得、アプリ・ブラウザ・OSのアップデートを行う
2022年に電子帳簿保存法が改正され、これまでは紙での保存が義務付けられていた帳簿ですが、確定申告ソフトなどでの保存が可能になりました。なお、2024年1月1日分からは、電子取引データの保存が完全義務化となっているので注意しましょう。
青色申告を行う人は、事前に「所得税の青色申告承認申請書」を提出しますが、その年の3月15日までに出しておく必要があります。確定申告の締切が翌年3月15日ですから、実質1年前ごろから準備をするということになります。
2. 収入と支出の計算
一年間の収入と必要経費を整理、計算し、白色申告の場合は「収支内訳書」、青色申告の場合は「青色申告決算書」を作成します。個人事業主で、医療費控除や寄付金控除など、控除対象の支出がある場合は、これも合わせて計算しましょう。
3. 確定申告書の作成
確定申告書を作成するには、次の4つの方法があります。
- 手書きで作成
- 会計ソフトなどで作成
- 国税庁のWEBサイトで作成
- 税理士に依頼する
手書きで作成する場合は、国税庁のWEBサイトで確定申告書をダウンロード、もしくは所轄の国税庁から用紙を取り寄せ、作成していきます。
国税庁のWEBサイトから作成する場合は、「確定申告書等作成コーナー」を利用します。サイト内のガイドに従えば作成できる流れになっていますが、使い勝手が良いとは言えないので注意しましょう。
4. 確定申告書の提出
確定申告書の提出方法は、オンライン提出(e-Tax)、郵送、直接税務署への持参の3つがあります。
郵送する場合は、必ず郵便もしくは信書便で送りましょう。宅急便では受け取ってもらえない場合があります。
オンライン提出(e-Tax)は24時間いつでも可能で、最も便利な方法だと言えるでしょう。ただし、e-Taxを利用するには「マイナポータルアプリのダウンロード」「マイナンバーカードの取得」もしくは「利用者識別番号の取得」といった事前準備が必要なので、利用する人は事前に準備しておきましょう。
5. 所得税の納付、もしくは還付
税務署での確認後、計算された税金が過払いであれば還付金が、不足していれば納税通知書が送られてきます。還付金がある場合は、指定した銀行口座に振り込まれます。
納税の方法には、次の5つがあります。
- 振替納税
- e-Tax
- クレジットカード
- コンビニエンスストア(QRコード)での納付
- 金融機関、税務署の窓口で現金での納付
かつては、金融機関で税金を納める人がほとんどでしたが、最近は電子決済による納付も増えています。ポイントを貯めている人であれば、手数料はかかりますがクレジットカードを利用するケースもあります。
6. 確定申告書の保存
確定申告書の控えと必要書類は、少なくとも5年間は保存しなくてはいけません。紛失することがないように、きちんと保存しましょう。
まとめ
今回は、確定申告の大まかな流れを解説しました。より詳細な話になる、実際の書類記入方法や、青色申告と白色申告の違いなどについては、別の機会に説明したいと思います。
なお、期限内(2月16日〜3月15日)に確定申告を失念し行わずにいると、「無申告加算税」や「延滞税」といったペナルティが課せられることがあります。これらの税率は5%〜最大40%にもなるので、確定申告は期限内に必ず行うようにしましょう。
執筆者紹介
- 東京都町田市生まれ、神奈川県相模原市在住。
慶應義塾大学商学部卒
大学卒業後、東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)勤務を経て
平成27年独立開業。
相模原地域を中心に、多くの企業の会社設立を支援。多数の講演実績。
出版書籍に
「会社と家族を守る事業の引き継ぎ方と資産の残し方ポイント46」
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