会社設立コラム

会社設立 の重要事項である株主構成について②

株主

- 会社設立 の際には少数株主や同族による株式保有のリスクに注意すること -

株式会社での会社設立を行う場合、株主構成を決める必要があります。出資金の支払い者が会社設立時の株主となりますが、その支払額の割合によって各株式持分比率が決まるので、慎重に検討しなくてはなりません。

以前のコラムでもご紹介しましたが、株主構成は会社の決定において多大な影響を与えます。では、一体、株式持分比率はどのようにすべきなのか、本コラムで解説していきます。

※前回の記事も合わせてご覧ください。

会社の代表である社長は株主であるべき

前回のおさらいになりますが、株式の保有数によって株主の権利は異なります。

仮に株式を持っていなければ、株主総会にも参加できないので、経営に携わっているにも関わらず、会社方針を決められない矛盾が生じます

また、経営に真剣に取り組み、会社の業績を伸ばしたとしても、株主の総意でクビになるリスクも出てきます。会社と委任関係にある社長(取締役)には労働基準法のような保障がないため、特別に理由のない解任も認められるからです。

社長が持つべき株式は100%が望ましい

弊法人では特別な事情を除き、会社の株式は全て社長所有とすることを勧めています。第一の理由として、株式が分散されていると、経営方針を巡って対立する可能性が出てくるからです。

株主は会社の所有者であるため、少数株主であっても株主権があります。揉めてしまうと、対応が非常に面倒です。経営が立ち行かなくなるということはないでしょうが、いちいち法定の手続をきちんと踏まないといけなくなります

「配偶者や兄弟など、親族同士で株を持ち合うのなら良いのでは?」と考える方もいますが、その代はともかく、代替わりをしてしまえば関係も薄れていきます。そうなれば、揉める可能性は高くなるので、リスクはあると言えます。

また、事業承継の点から見ても、株式分散していることは問題なのです。

もし、他の株主が会社の後継者に対して信頼を寄せていない場合、決議の度に、反対・否決され、事業が停滞する怖れがあるからです。株式を集約しようにも、大幅な手間がかかってしまいます。

さらに言えば、株式分散をしていると、会社を売却する場合や、他の大企業とのM&Aがスムーズに進みません。取引相手は「全株式」の譲り受けを条件とするからです。

これは先述したように、少数株主にも権利があるので、集約されていない株式を買い取るだけでは、多大なリスクが残るからです。そのような状態では相手も納得せず、話し合いは成立しないでしょう。

このように将来的な事業承継やM&Aなど「出口」も含めて考えると、できるだけ会社の株式は全て社長が保有した方が良いのです。

株式保有数が100%でない場合の問題点

(1)会社の株式の過半数をもつ場合

全株式の過半数を保有している場合、単独での取締役の選任・解任ができます。つまり、他の株主によってポジションを降ろされる心配はなくなるので、安心して経営に専念できます。また、資本金額の増加や剰余金の処分など普通決議を単独で行うことができるので、会社の支配権を有していると言えるでしょう。

ただし、他の株主がいる以上、各株主が権利を行使するための事務手続きにもきちんと対応しなくてはなりません

中には予期せぬクレーム(責任追及)等を受けることもありますが、対応をおざなりにすることはできません。要するに、株式の過半数を持っていても、他の少数株主によって事務コストが増大するリスクは抱えているわけです。

(2)会社の株式の3分の2以上を保有する場合

定款変更や事業譲渡、会社合併など、会社にとっての重要事項は、特別決議によって決めます。株式の3分の2以上を保有している場合は、特別決議を単独で行うことができます

経営に関わる重要事項を自ら決められるので、経営面については更に盤石となります。ただし、前述した事務コストが増大するリスクは抱えることになります

会社設立の際は必ず専門家のサポートを

会社設立のときに考えなければならないことはたくさんありますが、「出口」を意識して機関設計をすることも大切です。

今回のコラムでご説明したように、株式保有の問題は、ご本人が前線で会社経営をしている間だけでなく、事業承継やM&Aの際にも大きく影響するからです。

ただし、考えると一重に行っても、それには多くの経験や知識が必要になってきます。そのため、会社設立の際には、弊法人に是非相談をしてください。

弊法人ではお客様それぞれにビジネスモデル・成長戦略をお伺いした上で、適切な会社設計、税務上の留意点等についてアドバイスいたします。設立後に失敗しないためにも、是非事前にご相談ください。

まとめ

繰り返しますが、弊法人では会社の株式は全て社長所有が望ましいと考えます。

経営をスムーズに進ませる・解任のリスクを無くすといった目的もありますが、将来的な事業承継やM&Aを見据えてのこともあります。

会社設立についてもう少し詳しく聞きたい方がいましたら、一度ご相談ください。


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執筆者紹介

眞崎 正剛
眞崎 正剛税理士眞﨑正剛事務所 社会保険労務士法人眞﨑正剛事務所
東京都町田市生まれ、神奈川県相模原市在住。

慶應義塾大学商学部卒
大学卒業後、東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)勤務を経て
平成27年独立開業。
相模原地域を中心に、多くの企業の会社設立を支援。多数の講演実績。
出版書籍に
「会社と家族を守る事業の引き継ぎ方と資産の残し方ポイント46」