会社設立コラム

副業でも法人化して良い?【 副業からの 会社設立 】

副業

副業を始めて間もない頃は収入もわずかで、確定申告も不要なレベルかも知れませんが、事業が軌道に乗り、収益がどんどん大きくなる場合もあります。その場合には、法人化するべきか悩むことでしょう。

利益や売上が一定額になった場合、法人化したほうが運営や税金面では有利です。そのため、副業であっても法人化した方が良いでしょう。(事業環境によっては、最初から会社を設立してしまった方がいい場合もあります。)

ただし、副業ですから注意するべき点もあります。

本コラムでは、副業から法人化する際の注意点を始め、メリット・デメリット、法人化するタイミングについても解説いたします。

副業禁止の会社とトラブルにならないように

法律上、サラリーマンの方が副業で会社設立するのは問題ありません。実際、サラリーマンとして働きながら、ご自身の会社を持っている方はたくさんいます。

ただし、注意したいのは、勤務先が副業禁止の規定を設けている(=副業を認めていない)場合です。法律上は問題がなくても、内緒で行った後に、バレてしまえばトラブルに発展する可能性もあります

副業を内緒で行っていた場合、それだけで懲戒解雇になることは稀ですが、同業で副業を行っているなら、それは間接的に勤務先の利益損害に繋がる事項のため、避けるべきです。(本業の情報を漏らすなどした場合は、具体的な損害を与えたとして、懲戒解雇になる可能性はもっと高まります。)

役員報酬を受け取らない、家族を役員にして報酬を支払い社会保険に加入させる等、副業での会社設立がバレないようにする方法もありますが、あらかじめ許可を得ておくことが理想です。

副業の法人化のタイミングとは

(1)利益額で検討

副業の法人化のタイミングを考えるポイントにも色んな要素がありますが、まずは利益額で検討しましょう。事業から生じる利益が同じ場合でも、個人と法人では負担税率が異なります。

法人では課税所得にかかる税金として法人税と地方法人税がありますが、中小法人だと所得800万円を超えるか超えないかで税率は変わります。(19%→23.2%)

つまり、税率は2段階しかありません。

それに対して、所得税は「累進課税制度」が適用されているため、所得に応じて5%から45%の7段階にも区分されます。つまり、所得金額が増えれば増えるほど税率もどんどん高くなっていきます。

よって、利益額が一定額を超えた場合、法人化した方が所得に関する税金負担を少なくできます。税率だけを見れば、所得金額が330万円の場合は所得税率が20%になるので、法人税率の19%の方がお得なので、会社設立をすべきと言う意見もありますが、所得控除など、各ケースによって税額も異なるので、そんなに単純なものでもありません。

最適なタイミングについては、一度専門の税理士に相談をした上で、その方の状況から見極める方が良いでしょう。

(2)売上高で検討

前々年の課税売上高が1,000万円を超えている場合、消費税を納税しなくてはいけません。

よって、課税売上高が1,000万円を超えるタイミングで会社設立をするのも良いでしょう。すでに売上高が1,000万円を超えている場合、法人成りすることで課税売上高がリセットされます。つまりは、法人化すれば、再び消費税が2年間免除となり節税に繋がります。

ただし、インボイス制度の影響で、この法人化の王道パターンはリスクがあるので、安易に使用できません。この問題は前のコラムでも触れていますので、下記リンクより一読ください。

法人化するかどうかは専門家に相談を

副業での利益が大きくなると、納める税金も増えていきます。税金をどうにかしたいと思って、会社設立を検討する人も多いですが、会社設立は安易に決めて良いものでもありません。

たまたま大きな売上が出ていて、一時的に利益が増えている状態の場合だと、今後もその状態が続くかどうか、冷静になって検討し直すべきです。

法人化した後に、外部環境の変化によって売上が落ちる場合もあります。法人から個人事業主に戻すには会社を清算するなど、複雑な手間とコストが発生することにも注意しましょう。

節税についても、具体的にどんなことが可能なのか、金額としてどれだけ抑えられるのか、整理しておくことも大切です。いざ法人化してみたものの、思った節税効果が得られない場合もあります。

ご自身の状況を踏まえて専門家に相談し、シミュレーションしてもらうことをお勧めいたします。

まとめ

サラリーマンで副業をされている方でも会社設立はできますが、注意点もあることを覚えておきましょう。

また、会社設立にはお金も手間もかかりますから、デメリット部分を把握しておかないと損をしてしまう可能性もあります。

そうならないために、会社設立を考えたら専門家への相談をおすすめします。弊法人では会社設立のサポートから、税務関連・資金調達のアドバイスも行っておりますので、悩んでいる方は一度、ご連絡ください。


「 会社設立 のやり方がわからない」「なかなか時間が取れない」こんなお悩みを抱えている場合は是非、相模原・町田・座間・海老名会社設立支援センターまでご相談ください。手続きの代行はもちろん、設立後の節税対策や資金調達など、支援実績が豊富な税理士法人がワンストップで問題を解決いたします。

執筆者紹介

眞崎 正剛
眞崎 正剛税理士・社会保険労務士 眞﨑正剛事務所
東京都町田市生まれ、神奈川県相模原市在住。

慶應義塾大学商学部卒
大学卒業後、東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)勤務を経て
平成27年独立開業。
相模原地域を中心に、多くの企業の会社設立を支援。多数の講演実績。
出版書籍に
「会社と家族を守る事業の引き継ぎ方と資産の残し方ポイント46」