会社設立コラム

会社設立 した後の 社会保険 の加入方法

社会保険

法人とは、「法人格」を有し、個人とは全く別の社会的な存在となります。社会的な信用が高いので、法人化することで、個人と比較して取引の幅が広がり、融資に有利など様々な利点もあります。

ただし、当然ながら設立には法的な手続きが伴います。そして、同時に、社会保険への加入義務が発生します

社会保険は主に3種類

社会保険とは以下の保険の総称です。

  • 健康保険
  • 介護保険
  • 厚生年金

なお、これらは狭義の社会保険であり、広義では「雇用保険」と「労災保険」の労働保険も含みます。通常、実務では社会保険は狭義の社会保険を指しますので、上記三つは押さえておきましょう。

健康保険は、病気やケガによる医療費の一部を支給してもらう保険制度です。年齢・所得に応じて自己負担額が1割〜3割となり、怪我や出産による休業で手当金が支払われます。

介護保険とは、介護サービス費用の一部を支給してもらう保険制度で、40歳以上が被保険者となります。

厚生年金とは、高齢時に年金受給できる老齢年金、病気や怪我で障害を負った場合に受給可能な障害年金、加入者死亡時に遺族が受給できる遺族年金などを含む制度です。

法人化の際は社会保険の加入手続きが必須

会社設立した場合は、必ず社会保険の加入手続きをします。法人は社会保険の「強制適用事業所」に該当するためです。従業員がいない1人社長だとしても、基本的には社会保険への加入が義務付けられています

強制適用事業所とは、下記のいずれかに当たる事業所です。

  • 法人
  • 国、地方公共団体
  • 常時雇用する従業員5人以上の事業所(一部の業種を除く)

なお、「任意適用事業所」の場合、従業員全体の半数以上の同意に基づいて事業主が申請をし、厚生労働大臣の認可が下りれば、社会保険に加入できます。

社会保険に未加入の企業には、所轄の年金事務所から電話もしくは文書で加入要請の連絡が入ります。要請の後、すぐに手続きすれば問題ありませんが、要請を無視していると立入検査が行われ強制的加入となります

強制加入後は2年前まで遡り保険料の納付を求められることになります。

社会保険加入義務の例外

従業員がいない1人社長の場合、会社設立後に役員報酬が0円のケースもあります。
その状態であれば、社会保険に加入しなくても問題はありません。

役員報酬があっても、毎月支払う社会保険料を下回るのであれば、給与からの天引きが不可能なので、年金事務所から加入を断られる場合があります。

ただし、これらの場合、国民年金保険と国民年金への加入が義務付けられます。

社会保険加入の手続き

社会保険加入手続き時に準備する書類は以下の通りです。

  • 健康保険・厚生年金保険新規適用届
  • 健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届
  • 健康保険被扶養者(異動)届

(1)健康保険・厚生年金保険新規適用届

会社を設立したら手続きが必要な書類です。事業所を管轄する年金事務所に設立登記完了後5日以内に提出しなければなりません。

添付書類として、法人登記簿謄本・法人番号指定通知書など法人番号が確認できる書類も必要です。なお、法人(商業)登記簿謄本は、提出日から遡って90日以内に発行されたものである必要があります。

(2)健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届

社会保険加入手続きが必要な従業員を採用した場合に提出が必要です。

加入の事実発生から5日以内に提出しましょう。提出は事業所を管轄する年金事務所もしくは健康保険組合です。添付書類は基本的に不要です。

(3)健康保険被扶養者(異動)届

新たに社会保険加入手続きを行った役員・従業員に扶養家族がいる場合に提出する書類です。
以下の添付書類が必要です。

  • 被扶養者の戸籍謄本または戸籍抄本
  • 住民票の写し(コピー不可・個人番号の記載のないもの)
  • 収入要件確認のための書類

住民票の写しや戸籍謄本は提出日から90日以内に発行したものでなければなりません。

まとめ

個人事業主の方が法人化した場合、社会保険の加入手続きが必須です。

他の手続きや事業の準備などで忙しく、社会保険手続きをやっている暇がないという方は、専門家に代行してもらうことも可能です。

会社設立の手続きと併せて代行してもらうと手間も大幅に軽減されるのでお勧めです。


「会社設立のやり方がわからない」「なかなか時間が取れない」こんなお悩みを抱えている場合は是非、相模原・町田・座間・海老名会社設立支援センターまでご相談ください。手続きの代行はもちろん、設立後の節税対策や資金調達など、支援実績が豊富な税理士法人がワンストップで問題を解決いたします。

執筆者紹介

眞崎 正剛
眞崎 正剛税理士眞﨑正剛事務所 社会保険労務士法人眞﨑正剛事務所
東京都町田市生まれ、神奈川県相模原市在住。

慶應義塾大学商学部卒
大学卒業後、東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)勤務を経て
平成27年独立開業。
相模原地域を中心に、多くの企業の会社設立を支援。多数の講演実績。
出版書籍に
「会社と家族を守る事業の引き継ぎ方と資産の残し方ポイント46」