会社設立コラム

資産管理のための 会社設立 メリットとデメリットを解説

資産管理

通常であれば「会社」は、事業運営による利益追求を目的として設立されます。しかし、世の中には「資産管理のため」の会社も存在するのです。

この理由としては、資産は個人で管理するより、法人で管理した方が税制面で多数のメリットがあるからです。

そこで、今回は資産管理会社を設立するメリットについて解説します。資産管理会社に興味のある方はぜひ参考にしてください。良い面でなく、注意点も併せて解説いたします。

資産管理会社とは

資産管理会社は、現金・預貯金、不動産、有価証券、車などの動産といった財産を保有管理する会社を指します。

株式会社や合同会社など形式も自由に選択できます。外見上は通常の営業法人と遜色ありませんが、資産管理が主な活動なので、営業などは行いません。

資産会社を作るメリット

(1)節税になる

給与所得者も事業所得者も所得税を納税しますが、所得税の税率は「累進課税」のため所得が大きければ税金も高額になります。

一方、法人にかかる法人税の実効税率は種々の条件により多少変動しますが、20~30%程度の税率となっています。個人適用の所得税の最高税率と法人税率の差は、30%にもなりますから、所得が高い人にとって法人化は節税となります

また、個人でも法人でも欠損金は繰越控除が認められていますが、この繰越控除期間は個人の場合には青色申告をしても3年間なのに対し、法人だと最長10年間となります

他にも、個人と比較して、法人は経費計上できる項目が増えます。このような理由から、法人は節税のメリットが多いのです。

(2)所得が分散できる

賃貸物件を所有している場合、資産管理会社に不動産を移転すれば、家賃収入は資産管理会社のものになります。そうなれば、家賃収入は個人収入とは分散されることになり、所得税の軽減となります。

また、家族を会社の役員や従業員にすれば、役員報酬・給与を支払うことができます。つまり、家族の人数分所得を分散することで、所得税額を低く抑えることができます。

ただし、勤務実態がない家族に報酬・給与を支払っている場合は正当な報酬として認められないので注意しましょう。

(3)相続手続きにおいて取り扱いがしやすくなる

資産管理会社の設立は相続においてもメリットがあります。

個人で不動産を所有している場合、相続が起きれば所有権移転と分割が発生します。不動産は分割が難しいので協議が全く進まない場合も少なくありません。

しかし、財産を資産管理会社に集約しておけば、相続が起きても株式の分割で済むので、非常にスムーズです。加えて、相続登記も不要です。

(4)相続税の納税資金の確保にもなる

相続が起きれば故人の財産は相続人に受け継がれ、相続税が発生します。

相続税は相続開始を知ってから10ヶ月以内に現金で納付する必要があるので、ケースによっては納税資金の確保のために、相続不動産などを急いで売却しなければならないこともあります。

しかし、資産管理会社を設立し、役員報酬という形で家族に資産を移転しておけば、相続税の課税対象が減るだけでなく、相続税支払いの資金にすることもできます。(加えて、贈与における3年以内の制限の対象にもなりません。)

資産会社設立の注意点

(1)資産を自由に利用できない

資産管理会社が保有する資産は、個人のものではなく、その法人の所有です。よって、オーナーであっても自由に処分できません

個人の都合で資産利用する場合、資産管理会社から資産移転しなければなりません。
具体的には役員報酬や配当という形で支払うことになりますが、この時、それらのお金は所得税の対象となってしまいます。

(2)事務仕事・コストが増える

資産管理会社も会社ですから、重要事項については株主総会の決議が必要です。一人会社であっても、議事録の作成自体は必須なので、個人と比較すると事務処理の手間が増えます

加えて、帳簿付けや税務申告は法人の方が複雑ですので、税務の仕事も増えるでしょう。

(3)事業承継をする際、「株式保有特定会社」「土地保有特定会社」であることで、予想以上の税金が課される可能性があります。

会社の資産を「相続税評価ベース」で評価した場合に、資産に占める株式の割合が50%以上になる会社を株式保有特定会社といいます。また、資産に占める土地の割合が70%以上(大会社の場合。中会社は90%以上)になる会社を土地保有特定会社といいます。

これらに該当してしまいますと、その資産管理会社が、「特定評価会社」といい、事業承継の際に株価がかなり高くなってしまい、円滑な承継に支障をきたすケースがあるので、不動産や、株式を資産管理会社に移転させる際には注意が必要なのです。また、課税時期前3年以内に取得した土地等・建物がある場合は、会社の株価を算定するさいに路線価方式または倍率方式による評価額や固定資産税評価額によるのではなく、課税時期の通常の取引価額(時価)によります。つまり、株価が高くなってしまうケースがよくあります。会社のオーナーが高齢で、相続が実際発生するまでにあまり時間がないようなケースは、慎重さが求められます。

資産管理会社を作るべき方々

所得が一定の水準を超えた段階で法人化した方が税制上では有利です。

そのため、資産管理会社は、一定の資産を保有している資産家だけでなく、個人投資家や副業などを行っているサラリーマンでも条件を満たせば、会社を設立した方が良いでしょう。

(1)個人投資家

株式投資で収益を得ている個人投資家の場合、所得が一定水準を超えれば会社を設立した方が良いでしょう。所得が多くなればなるほど法人化の節税メリットは増えるからです。

また、会社を設立して役員になることで、役員報酬を受け取っている給与所得者として扱われるため社会保険への加入も可能です。

(2)資産運用・副業を行っているサラリーマン

サラリーマンの方でも、最近では資産運用や副業を行う方が多いです。

そのため、所得が一定水準を超えたら法人化するべきです。所得増加に伴って、所得税より法人税の方が税率は低くなるため、法人化によって節税が可能です

(3)将来的に相続税がかかると予想される資産家

財産の相続には相続税が課税されます。生前贈与で財産を譲渡しても一定額を超えれば贈与税がかかります。

親族を資産管理会社の役員として雇い入れ、役員報酬を支給することで多額の相続税や贈与税を負担することなく資産を移転することができます。

また、不動産などの換金や分割が難しい財産は、資産管理会社の保有としておけば相続の対象から外れます。かわりに法定相続分に応じて資産管理会社の株式を分割することで、スムーズに遺産相続を進めることが可能です。

まとめ

資産運用や税負担の減少を考えているのであれば、資産管理会社の設立を検討してみましょう。

資産が多ければ多いほど、節税のメリットも大きく、相続におけるメリットもあります。ただし、資産管理会社も「会社」ですから、事務や税務が煩雑なところもあります。

よって、まずは専門の税理士に相談し、資産管理会社の設立がご自身にとってメリットとなるのか、じっくり検討した方が良いでしょう。


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執筆者紹介

眞崎 正剛
眞崎 正剛税理士眞﨑正剛事務所 社会保険労務士法人眞﨑正剛事務所
東京都町田市生まれ、神奈川県相模原市在住。

慶應義塾大学商学部卒
大学卒業後、東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)勤務を経て
平成27年独立開業。
相模原地域を中心に、多くの企業の会社設立を支援。多数の講演実績。
出版書籍に
「会社と家族を守る事業の引き継ぎ方と資産の残し方ポイント46」