会社設立コラム

一般社団法人とは何か 株式会社との違いも解説

会社設立

日本国内では「株式会社」が最も多いですが、これは資金調達がしやすいことや、万が一の際に有限責任が適用される等、メリットが多いからです。

基本的には会社を立ち上げる場合、どの形態にするかは事業主が好きに選択できます。会社の形態も様々なものがありますが、その一つに「一般社団法人」があります。

これは「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」に基づいて設立される非営利法人です。非営利とは言うものの、事業活動に制限はなく、株式会社と同様に利益追求をしても構いません。

ただし、高収益が見込まれる事業には向いていません

一般社団法人とは

一般社団法人は2008年に施行された法律により設けられた法人であり、法人形態としては新しいものです。

主な特徴としては、営利活動は本来の目的ではない点が挙げられます。しかし、営利活動がまったくできないわけではなく、活動によって利益を上げることに問題はありません事業の内容にも制限はなく、公益事業でなければならないわけでもありません

重要な点として、株式会社の配当のように「余った利益の分配」が認められていないのです。利益は、原則として地域事業や次の事業に再配分されます。

一般の会社のように「会社の業績が出たから特別ボーナスを出す」ということができないのです。勘違いしやすいですが、給料は支払えますし、運営する理事(株式会社でいう取締役)が理事報酬を受け取ることも大丈夫です。

理事報酬が相場より高額の場合や、報酬額の急な増額等は、「剰余金(利益)の分配」とみなされる怖れがあります。

もう一つの特徴として、設立が1人ではできず、最低2名以上の社員が必須です。(設立の際の社員は法人でも構いません。)

具体的には一般社団法人設立には、「理事」と「社員」が必要であり。理事は社員と兼ねられるので、設立の最低人数は2名となるわけです。社員は設立時に必要なため、そのあとに社員が減っても大丈夫です。社員が1人もいなくなった場合は、解散となります。

株式会社との違い

一般社団法人と株式会社の最大の違いは、事業利益が分配できるかできないかです。

株式会社は「営利法人」であり、一般社団法人は「非営利法人」です。株式会社は株主や社員へ配当金を分配しますが、一般社団法人は先に述べたように余剰利益の分配ができないのです。

なお、税制面でも違いがあります。株式会社であれば、事業活動の内容を問わず、全ての利益が課税対象です。しかし、一般社団法人は非営利であれば、収益事業以外での利益は非課税扱いです

そのため、株式会社と比較すると、税金としてはかなり優遇されています。

なお、一般社団法人は営利型にすることも可能です。ただし、この形態にしてしまうと事業で得られたすべての利益が課税されてしまうので、税制面でのメリットは無くなります。非営利型にしないと、株式会社と変わらないということです。

登記手続きは簡易

一般社団法人の設立は、登記手続きが簡単に済みます。法務局で登記申請をする点は同じですが、一般社団法人に資本金は必要ありません。

定款の正当性を公証人によって証明する定款認証を受け、設立登記などの手数料を支払うだけで設立可能です。

一般社団法人の設立手続

(1)社員を集める

株式会社と違い、一般社団法人設立には社員が2名以上必要です。前述したように内1名は理事を兼ねることになります。

設立の際に2名以上の社員がいれば、設立後に社員が減ることは構いません。

また、社員は個人でなく、法人でも問題ありません。

(2)定款の作成・認証

株式会社と同様に定款を作成しなければなりません。定款は公証人による認証を受ける必要があります。

この時の認証手数料に5万円かかります。

(3)設立登記

一般社団法人の代表理事が登記申請をします。登記の場所は本店所在地を管轄する法務局です。

設立登記の際に法務局へ納める登録免許税は6万円となります。

まとめ

営利目的の株式会社とは異なり、一般社団法人は非営利が前提なので社員に余った利益を分配することはできません。

よって、一般社団法人は、高収益を上げたい場合や、見込まれる事業には向いていません。

たくさんの利益をだしたい・お金を儲けて役員や社員に分け与えたいような場合は、一般社団法人ではなく、株式会社・合同会社などの会社形態を選ぶべきなのです。

一般社団法人に向いているのは、地域振興事業等、ある程度公益的な事業を行いたいと検討している人です。該当しないのであれば、株式会社や合同会社を選択した方がよいでしょう。


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執筆者紹介

眞崎 正剛
眞崎 正剛税理士眞﨑正剛事務所 社会保険労務士法人眞﨑正剛事務所
東京都町田市生まれ、神奈川県相模原市在住。

慶應義塾大学商学部卒
大学卒業後、東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)勤務を経て
平成27年独立開業。
相模原地域を中心に、多くの企業の会社設立を支援。多数の講演実績。
出版書籍に
「会社と家族を守る事業の引き継ぎ方と資産の残し方ポイント46」