会社設立コラム

創業直後でも整備しておきたい、ハラスメント対策

ハラスメントはどの職場でも起こり得る問題です。特に、創業したばかりの小規模企業では見逃しやすい落とし穴が多く、何かが起きてから対応するとなると、手遅れになってしまうことも。

そこで今回は、創業期・起業してすぐの会社に起こりやすいハラスメントとそのリスク回避策、気をつけるべきポイントについて解説します。

ハラスメント防止措置は、小規模企業でも「義務」

パワーハラスメントなどの防止対策は、ここ数年前まで大企業を中心に進められてきましたが、法律改正により中小企業・小規模企業でも義務化されるようになりました。

厚生労働省が公表している通り、パワーハラスメント防止措置は「労働施策総合推進法」に基づき、事業主が講じるべき義務として定められています。

「職場で行われる優越的な関係を背景とした言動が労働者の就業環境を害することのないように、雇用管理上必要な措置を講じること」が義務付けられています。

つまり、どの企業でも、

  • パワハラを防ぐための方針づくり
  • 相談窓口の整備
  • 相談対応体制
  • 事後の適切な対応

が必要になったということです。

特に、創業したばかりの会社では、人数が少なく従業員と社長の距離が近いため、つい「言い方がきつくなってしまった」「いつもこの程度のことは言っている」と、日常の発言内容や言い方について軽く考えてしまいがちです。

しかし、法律は企業規模に関係なく防止措置を義務化しているという点を、まず認識しておきましょう。

ハラスメントを見逃しやすい職場の特徴

人数が少ない会社が陥りがちなのは「社員同士の距離が近い」「普段から顔を合わせているから…」という感覚で問題を放置してしまうこと。

パワハラやセクシュアルハラスメント、マタニティハラスメントなどは、「優越的な関係が背景にある言動や、業務上必要とされない言動によって労働者の環境が害されること」とされています。

これらは、単なるコミュニケーションの問題であると誤解されがちですが、明らかな立場の違いによって引き起こされる問題のひとつです。

また、人数が少ない職場だと、人間関係を重視するあまり問題が表面化しにくいといった傾向もあります。上司が気付かないままハラスメントが継続することも。また、役職が曖昧な場合、ハラスメント行為の基準や線引きがしにくい、というケースも散見されます。

創業期でも、相談窓口の設置や対応体制を準備しておく

ハラスメント防止の対策として最も重要なのは、従業員の相談窓口や対応体制をきちんと整備することです。

具体的な対策として、

  • 社内の相談窓口担当者を明確に決める、もしくは、第三者の業者に依頼する
  • 相談後のフォローや調査方法を明文化しておく

ことが重要です。

創業したばかりだと、総務や社長自身が人事労務を兼務しているケースが多いですが、いかなる場合でも「匿名性」や「プライバシーの保護」が確保されていることが非常に重要ですし、従業員にもそれを周知する必要があります。

さらに、相談してきた従業員が不当な扱いを受けないよう、慎重かつ適切な対応が求められます。

また、外部労働相談窓口(労働局等)が用意されていることも知っておいた方がいいでしょう。厚生労働省の「あかるい職場応援団」サイトでは、相談窓口や資料を提供していますので、最初の知識をつけたいという方は、まずはそちらを確認してみましょう。

ハラスメント発生後にやりがちな誤った対応

ハラスメントの事案が発生した際によくありがちなのが、「事実確認や対応を曖昧にしてしてしまう」こと。実は、事案発生後の対応こそ、ハラスメント対応の成否を分けるポイントとなります。

万が一、事案が発生した場合は、速やかに被害者側と行為者側に事実確認を行いましょう。ただしこの際も、ヒアリングの順番(被害者が先、行為者が後)や、第三者への聞き取りをどこまでの範囲で行うかなど、かなり繊細な対応が求められます。

一つでも手順を間違えたり、曖昧な対応を取ってしまうと、お互いに不信感を募らせてしまうので、事が起きた場合はなるべくすぐに、社労士などの専門家に相談することがおすすめです。

不適切な対応が続いてしまえば、当然ですが従業員との信頼関係は崩れ去ってしまいます。そうなると、一斉大量離職や訴訟などにも繋がるため、ここはかなり注意して対応しなくてはいけません。

まとめ

従業員を雇用する立場になったなら、規模の大小に関わらずハラスメント対策は必須です。

創業期には日々の仕事も忙しく、労務関係の対応は後手に回ってしまいがちなのですが、対応を間違えてしまうと非常に大きな問題に発展するのが、このハラスメント問題です。

対応が遅れると、労働基準監督署からの指導、さらには損害賠償のリスクをはらんでおり、そうなるのも珍しいことではありません。

まずは相談窓口の整備・社内規程の作成・周知徹底・事後対応のルール化を実施しましょう。また、外部専門家(社労士や法務担当者)との連携も有効です。いざという時に備えた体制づくりを進めておく必要があるでしょう。

日々の経理会計業務において、不安な点がある場合は、いざという時に備えて、日常的に相談できる専門家を見つけておくことがおすすめです。特に専門性が高い、節税対策や資金調達については、適宜アドバイスを受けながら進めていくことで、安定的な経営につながると思います。

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執筆者紹介

眞崎 正剛
眞崎 正剛税理士眞﨑正剛事務所 社会保険労務士法人眞﨑正剛事務所
東京都町田市生まれ、神奈川県相模原市在住。

慶應義塾大学商学部卒
大学卒業後、東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)勤務を経て
平成27年独立開業。
相模原地域を中心に、多くの企業の会社設立を支援。多数の講演実績。
出版書籍に
「会社と家族を守る事業の引き継ぎ方と資産の残し方ポイント46」