会社設立コラム

【 会社設立 】本店所在地を決める際のポイント

ポイント

会社設立では、本店所在地=会社の住所を決める必要があります。(住所は登記書類や定款に記載されます。)

住所の決定に大きな制限はなく、自由に決めることができます。自宅はもちろんレンタルオフィスやバーチャルオフィスでも法人登記が可能です。

ただし、自由と言っても、各パターンでそれぞれメリット、デメリットがあるので覚えておくべきです。

本店所在地を考える時に押さえておく事項

(1)本店所在地と実際の営業場所が違っても良い

自宅住所を本店所在地で登記し、オフィスを別に借りるなど、本店所在地と実際の営業場所が違っても問題ありません

法律上では、本店がどのような機能を担うかは明確に定められてないからです。

ただし、登記上の本店は、社会的信用に影響するので、きちんとした理由がない限りは同じにするべきでしょう。重要な郵便物も本店所在地に届くので、そこも考慮するべきです。

(2)同住所の重複は確認すること

どの住所でも法人登記できますが、商業登録法では、同じ住所で会社名が重複するのはNGです。(同一本店同一商号の禁止と言います。)

そのため、本店所在地において会社名が重複していないか事前に確認しておきましょう。

自宅を本店とする場合のメリットとデメリット

(1)メリット

会社設立の際に、自宅を本店所在地として登録することは法人税法上も、登記上も問題ありません。自宅であれば、すぐに住所が用意できるので、契約の手間やお金もかかりません。

Web関連の仕事や整体・ネイル等、事業所を借りる必要がない業種では自宅を登記される方が多いです。

(2)デメリット

自宅が登記されるので、プライバシー面で問題があります。

また、取引先や金融機関への信用度にも影響します。(会社としての実態が見えにくいからです。)

賃貸マンションを本店にするメリットとデメリット

(1)メリット

賃貸マンションの一室でも法人登記が可能です。

自宅を本店にすると、個人事業主感が出てしまい、信用度に少なからず影響するでしょう。ですが、賃貸マンションであれば自宅と分けられていることもあり、対外的イメージは良くなります。

また、賃貸物件なら会社の営業所として合う物件を見つけやすいでしょう。

(2)デメリット

自宅兼事務所と比較して、契約費用や毎月の家賃等で経費がかかります。立地、建物の築年数、設備内容等の諸条件によって、費用が高額になる可能性もあります。

また、注意したいのは、規約違反のリスクです。

そもそも、住居を貸主から借りる場合、物件用途が居住用に限定されているケースが多いです。これは事業利用した場合、騒音やごみ等の排出で他の入居者とトラブルになりやすいからです。

よって、契約を結ぶ前に貸主にしっかりと事業用利用が可能か確認しておきましょう。(OKであれば、書面での認可をもらいましょう。)

賃貸借契約違反と判断された場合、契約解除を迫られ、退去することになりかねません。

賃貸オフィスを本店にするメリットとデメリット

(1)メリット

事業利用を前提として貸し出されているオフィスビルの一角・部屋を借りる方法です。1室のみや複数フロアを借りる等、レイアウトが自由にできます。

賃貸事務所の契約には審査があるので、オフィスビルを借りている会社はそれだけで対外的な信用力が見込めます。

(2)デメリット

賃貸オフィスは家賃の数ヶ月分を契約時に支払う等、まとまったお金が必要になります。

また居住用の賃貸物件と比べて、家賃や敷金が高額になるので資金力が求められます。

レンタルオフィスを本店にするメリットとデメリット

(1)メリット

複数企業が同じ建物・オフィスを共同で利用する方法です。

個室があり、会議室等のその他の部分は共有としているもの、カフェのようにフリーアドレスで同じ空間を共同利用するものなど、パターンは色々あります。

賃貸事務所を借りるよりも家賃が低くなる傾向にあり、フリーアドレス形式の共有スペース利用であれば、諸経費はかなり抑えられるでしょう。

今では様々なタイプもでき、施設・設備の状況や提供されるサービスも異なるので、自身に合うものを見つけやすくなっています。

(2)デメリット

地区によっては、レンタルオフィスが少なく、希望に合うものを見つけにくい場合もあります。また、共同利用が前提なので、他の利用者が問題を起こす場合もあります。

そして、レンタルオフィスは法人登記できないケースもあります。事前に法人登記ができるか貸主に確認しましょう。

バーチャルオフィスを本店にするメリットとデメリット

(1)メリット

バーチャルオフィスは、事業に必要なオフィス機能の一部のみを提供するサービスです。

具体的には「法人登記用の住所を貸す」「専用の電話番号やFAX番号の提供」「会社宛ての郵便物の転送」などの機能があります。

仕事場を借りるのではなく、必要最小限の機能を受けるだけなので、必要経費はかなり安くなります。ネット通販等、実体のある事務所を借りる必要がない事業の経営者に好まれます。

(2)デメリット

実体のある事業所が必須の業種では利用できません。(建設業、人材派遣業等を営む場合は、不可です。)

また、社会的信用度があまり高くない点も懸念となります。(ネット通販であっても、実体のない事務所は信用を確保するのが困難です。)

まとめ

会社設立の際の本店所在地の決定は大切な事項です。

安易に決めるのではなく、これから行おうとする事業内容や、将来的な展望も含めた上で、十分に検討して決めましょう。

法人登記後に、本店所在地の住所変更は可能ですが、登記が再度必要となりますから、手間になってしまいます。


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執筆者紹介

眞崎 正剛
眞崎 正剛税理士眞﨑正剛事務所 社会保険労務士法人眞﨑正剛事務所
東京都町田市生まれ、神奈川県相模原市在住。

慶應義塾大学商学部卒
大学卒業後、東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)勤務を経て
平成27年独立開業。
相模原地域を中心に、多くの企業の会社設立を支援。多数の講演実績。
出版書籍に
「会社と家族を守る事業の引き継ぎ方と資産の残し方ポイント46」