会社設立コラム

車両費に関する違い【 法人化 の際の経費 】

法人化の際の車両費

法人化 した際には経費にできる範囲も異なります。

車に関するお金もそのうちの一つです。個人であっても、車の本体代やガソリン代もを経費にすることはできますが、経費にできるのは事業に利用している部分のみです。

一方、法人の場合、会社使用の車はプライベートでの利用を想定していないので、全額を経費にすることができます。

個人の場合

個人でも車両代、ガソリン代、駐車場代、車検代、損害保険料、自動車税など、車両に関連する費用は経費の対象です。

ただし、個人の場合、プライベートな利用と業務利用が混同するため、車にかかる費用のうち何割を業務のために使っているか計算しなければなりません

100万円の車を購入した場合、事業用で50%使用し、プライベートでは50%程度使用するとなると、半分の50万円のみが経費として認めてもらえます。在宅ワークやネット完結の仕事など、業務で車を一切使わない場合は経費計上の対象とはなりません。

このように、事業に使用する割合を算出することを按分と言います。按分については、税務上で決められた基準はありません。税務署に実態を示す「明確な根拠」があれば良いとされています。

法人の場合(法人化した場合)

会社の経費は原則として、すべて事業活動のために支出されたモノと見ることができるので、会社が事業用として購入した車や、法人化した際に会社名義に変更した車にかかるお金は経費とすることができるのです。

もし、少しだけプライベートで利用したとしても、その部分を明確に分けるのは困難なので、全額経費として処理しても問題ありません。(ただし、プライベート利用は常識の範囲内に限ります。)

法人でも車両代、ガソリン代、駐車場代、車検代、損害保険料、自動車税など、車両に関連する費用は経費の対象ですが、車にかかるお金全部が一括で経費となるわけではありません。

特に車両代は建物や設備・器具などと同じ資産とみなされるので、減価償却費として、数年に渡り計上していくこととなります。

減価償却資産の配分すべき期間は、資産の種類ごとに決まっており、乗用車の耐用年数は6年で、小型車は4年となっています。(個人でも法人でも、耐用年数は同様です。)

減価償却には二つの計上方法があり、償却期間中、毎年の減価償却費が同じになるよう計算する方法を「定額法」、減価償却資産が一定の割合で減少するよう、資産の帳簿価額に一定の割合をかけて償却費を計算する方法が「定率法」です。

原則として法人は定率法、個人事業主は定額法でおこないますが、期限内に税務署に届出をすると、計上方法を変更できます。

減価償却資産の償却方法は、事業年度開始まで(個人なら3月15日まで)に、所轄の税務署に届け出る必要がありますが、何もしない場合、自動的に法人は定率法、個人は定額法が適用されるのです

減価償却について

個人の場合、強制償却です。強制償却とは、減価償却を忘れて必要経費に算入しなかったら、その期間分の経費は翌年以降の経費にすることができないのです。

それに対して、法人は任意償却です。法人税法では償却費として損金経理した金額の中で、償却限度額に達するまでの金額が損金として認められます。

償却費を少なく計上し、限度額分の償却をしなくても、その分は翌年以降でも必要経費に算入できるのです。ですが、融資を受けている場合、減価償却を行ったり、行わなかったりということは良くないことです。融資の可否を判断するうえで、金融機関の心証を損ねます。

事業用車は新車か中古車か

中古車は新車よりも償却期間が短く設定されています。つまり、新車と同額の車を購入した場合、中古車のほうが多く経費にできるのです。

よく「4年落ちのベンツ」という表現を聞いたことがありませんか?法人税や所得税を節税するために、中古車の購入はよくある手です。ただし、ご注意いただきたいのは以下の点です。

  • 減価償却費は原則月割計上のため、期末になればなるほど、その期に計上できる金額が少なくなる
  • あくまで「経費」として認められるのは「事業用」が前提

減価償却費が月割計上なことを考えると、できるだけ期首に近いところでの購入がお勧めです。また、事業主個人での「趣味嗜好」とみなされかねない高額な車の購入は税務調査で否認されるリスクがあるので、十分ご注意ください。

なお、少額減価償却の特例があるので、車が30万円未満の場合、減価償却自体が不要です。全額を一括で経費計上できるので、節税に有効です。

ただし、中古車は新車と比較して維持費が高くかかります。メンテナンス代がかさんで、節税額よりも支出が増えてしまうケースもあるので注意が必要です。トータルの支出を考えて、購入する車を決めましょう。

まとめ

個人と法人でも車にかかるお金は経費にできますが、経費計上の方法に違いがあります。

減価償却は難しい部分でもあるので、不明な点は税理士に相談しましょう。


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執筆者紹介

眞崎 正剛
眞崎 正剛税理士眞﨑正剛事務所 社会保険労務士法人眞﨑正剛事務所
東京都町田市生まれ、神奈川県相模原市在住。

慶應義塾大学商学部卒
大学卒業後、東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)勤務を経て
平成27年独立開業。
相模原地域を中心に、多くの企業の会社設立を支援。多数の講演実績。
出版書籍に
「会社と家族を守る事業の引き継ぎ方と資産の残し方ポイント46」