会社設立コラム

信用保証協会と信用保証制度の仕組みについて【創業融資・資金調達】

融資

会社設立後の資金調達は、事業開始時の重要な一歩です。資金調達が遅れてしまうと、運営スケジュールにも多大な影響を及ぼすからです。

資金調達の方法は様々ですが、創業時に多く利用されるのは、創業融資制度です。

創業融資制度で最も有名なのは、「日本政策金融公庫の融資制度」。日本政策金融公庫は日本政府100%出資の公的金融機関であり、創業直後で実績のない企業であっても積極的に融資してくれます。

そして公庫の融資制度に次いで利用されるのが「信用保証協会の保証付融資」です。

この融資では、お金を貸すのは一般の金融機関ですが、通常の融資と違い「信用保証協会」という公的機関が間に入ります。この保証協会が返済を保証してくれるので、融資する側も貸し倒れのリスクが下がり、設立したばかりの企業や、経営が安定しない小規模事業者にも融資ができるようになります

今回はこの信用保証協会とその融資制度について説明していきます。

信用保証協会と信用保証付融資について

信用保証協会とは、1953年に設立された公的機関です。設立された主な目的は、「信用保証協会法」に基づいて中小企業や小規模事業者への融資をスムーズにすることです。

協会の大きな役割は、融資における信用を肩代わりしてくれることです。つまり、会社の倒産等で融資金の返済が難しくなってしまった場合、信用保証協会が立て替えて返済するのです

返済が保証される以上、お金を貸す側にとって、リスクは少なくなります。よって、創業直後で実績のない企業でも融資を受けやすくなるのです。

ただし、事業主は対価として、所定の信用保証料を支払います。(信用保証にかかるお金は会社の経営状況等から決定されます。)

また、保証付融資は中小企業や小規模事業者の支援を目的にしていることから、一定以上の規模の企業は利用できません。例えば、サービス業では資本金5,000万円・従業員100人以下など、業種ごとに資本金額や従業員数は決められています。

信用保証付融資のメリットとデメリット

(1)メリット

信用保証付融資のメリットは以下の通りです。

  • 会社設立したばかりで、実績のない事業者でも融資を受けやすい
  • 担保や保証人の準備の心配がない
  • 長期借入を利用できる

最大のメリットは、保証制度がある分、実績が少ない企業でも融資を受けやすい点です。そのため、公庫の融資制度に次いで利用されます。

さらに、信用保証協会の融資は、通常の融資制度と比べて担保や保証人を準備する心配があまりありません。個人事業主の場合は原則として保証人が不要、法人でも代表者以外の連帯保証人は必要ありません。

また、保証付融資は、長期借入に対応しているので、長期的な資金の活用が可能になります。(保証制度によっては長期借入に対応していないものもあります。)

(2)デメリット

  • 信用保証料がかかる
  • 審査の段階が多く、融資決定までに時間がかかる
  • 会社の代表者は保証人となる

信用保証協会はボランティアで保証をしません。融資を受ける事業者は信用保証協会に対して「信用保証料」を支払う必要があります。

信用保証協会の保証料は、借入限度額や借入額のおよそ2%以下の利率で算出されますが、具体的な数値は会社の経営状況や保証期間、担保の有無など様々な要素から決定されます。リスクが高いとされれば保証料は高くなり、低いと判断されれば安くなります。

保証付融資の審査には信用保証協会と金融機関と二回分あるので、融資獲得の期間も長くなります。(長くて2ヶ月程度かかります。)

そして、保証付融資では、代表者保証は必ずついてくる点もデメリットとなります。代表者保証があると、会社が倒産しても社長が免責されることはありません。再起への道のりも、かなりの時間がかかるでしょう。

なお、日本政策金融公庫における創業融資制度では代表者保証が不要なものもあります

制度融資とは

信用保証協会が信用保証している融資は、総じて「信用保証付融資」と呼びます。その中で、自治体と信用保証協会、金融機関によって実施されている融資のことを「制度融資」と呼びます。

制度融資では、企業から融資の申し込みを受けた地方自治体が、金融機関に対して融資の斡旋を行います。そして、信用保証協会が間に入り、金融機関に対して保証をします。

制度融資は各都道府県のもの・各市町村が行なっているものの二つあります。(同時利用はできません。)

制度内容については、地区によって異なるので、詳細は自治体のHPで確認すると良いでしょう。

まとめ

保証付融資は実績が少ない創業直後の企業や小規模事業者にとって心強い味方です。銀行から融資が断られている状況でも、保証付融資を使える可能性は十分あります。

ただし、保証協会のおかげで融資のハードルは下がっているものの、事業計画書や面談内容によっては審査で落とされます。

確実に融資を受ける場合には、創業融資専門の税理士に相談し、事業計画書の作成方法のアドバイスをもらったり、面談に同席してもらう方が確実で良いでしょう。

経験豊富な税理士であれば、保証付融資の審査に通るための書類や面談へのアドバイスを的確に授けてくれるはずです。


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執筆者紹介

眞崎 正剛
眞崎 正剛税理士・社会保険労務士 眞﨑正剛事務所
東京都町田市生まれ、神奈川県相模原市在住。

慶應義塾大学商学部卒
大学卒業後、東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)勤務を経て
平成27年独立開業。
相模原地域を中心に、多くの企業の会社設立を支援。多数の講演実績。
出版書籍に
「会社と家族を守る事業の引き継ぎ方と資産の残し方ポイント46」