会社設立コラム

会社設立後の決算月はどうやって決める?【3つのポイントを解説】

決算

会社を設立したら1年以内に決算月を決めなくてはなりません

一般的に多くの会社は決算月を3月にすることが多いですが、必ずしも3月にする必要はなく任意の選択が可能です。

また、決算日は月末に限らなくてもよいので、例えば4月15日などの中日を決算日にすることもできます。

決算月の決め方 3つのポイント

(1) 繁忙期を考慮

決算月を繁忙期に持ってくるのは避けるべきです。

会社は原則として決算日から2ヶ月以内に法人税等の確定申告を行い、納税をしなければなりません。そのようにやることが多い中で、繁忙期に決算月を被せてしまうと、決算の事務処理のせいで本業に割く時間がなくなってしまいます。

繁忙期では、売上を伸ばすことに集中する方が良いでしょう。

また、繁忙期は利益や売上の見通しがはっきりしないため、

  • 思ったよりも売り上げが伸びず、赤字となる
  • 予想を超える売り上げが出て、多額の納税となる

といったリスクもあります。

前述したように決算日から2ヶ月以内に法人税等の確定申告を行い、納税をしなければならないので、繁忙期を決算月にしてしまうと、繁忙期の売上結果のリカバリーを短い期間で行わなければならなくなります。

節税対策を行う場合でも、黒字化対策を行う場合でも、残りの期間が長くある方が有利です。

(2)資金に余裕のある月にする

決算後の決定申告と法人税などの納付は、決算日から2ヶ月後までに行う必要があります。(該当日が土・日・祝日など税務署閉庁日と重なる場合はその翌日が申告期限です。)

つまり、決算2ヶ月後には、法人税・法人住民税・事業税などの納付で、大きな支出が生じます。

利益が多ければ多いほど納税額は高額になっていきますので、納税が生じるタイミングで資金繰りが悪化する月が重なってしまうと、納税金を払えなくなる可能性があります。

それを避けるためにも「決算日から2ヶ月後」に納税することを踏まえて、資金にゆとりのある月に決算期を設定します

税務署への納付金が払えずに倒産するケースは珍しくありません。

(3)消費税の免税期間

資本金額が1,000万円未満の企業の場合、原則として2期までは消費税の納税が免除されます。「2年」ではなく「2期」なので、開業日と決算日が近い場合は、免税のメリットを最大限に受けることができません。

例えば、4月に会社を設立した場合、決算月を1年後の3月とするか、半年後の9月とするかでは、消費税の免除適用期間に差が出ます。

なお、2023年度から始まるインボイス制度の影響で、この消費税免除期間を活用するかどうかは、慎重に判断しなければなりません。

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会社設立後に決算月を変える方法

一度定めた決算日は、その後に変更することができます。変更には以下の手順で手続きを進めます。

(1)株主総会で定款の変更を決議する

会社の決算月は、定款に記載されているため、決算月を変更したいのであれば、株主総会で定款変更を決議しなくてはなりません。

定款の変更には特別決議が必要なので、発行株式の過半数を有する株主が出席し、3分の2以上の賛同を得ます。(小規模な同族会社の場合ですと、株主総会を省略して書類作成のみで良い場合もあります。)

税務署手続きで議事録が必要になるケースもあるので、株主総会の議事録は作成しておきます。

(2)税務署への届け出

株主総会で決議されれば、税務署に「異動届出書」を提出します。

他にも株主総会の議事録や変更後の定款のコピーが必要です。

決算月を変えた後は

決算月を変更したなら、主要な取引先や金融機関に、事業年度変更の連絡をしておきます。

許認可事業などを行っている場合、管轄する省庁等へも届け出なければなりません。

まとめ

会社設立の際には、資金調達や売上げ見込みなどに意識が行きやすいので、決算月をなんとなくで決めてしまうケースも多いと言えます。

しかし、安易に決算月を決めてしまうと、業務繁忙を招いたり、資金繰りが苦しくなったりするリスクもあります。

よって、決算月の決定や変更については、慎重に検討しましょう。必要に応じて税理士に相談をするのも良いでしょう。


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執筆者紹介

眞崎 正剛
眞崎 正剛税理士眞﨑正剛事務所 社会保険労務士法人眞﨑正剛事務所
東京都町田市生まれ、神奈川県相模原市在住。

慶應義塾大学商学部卒
大学卒業後、東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)勤務を経て
平成27年独立開業。
相模原地域を中心に、多くの企業の会社設立を支援。多数の講演実績。
出版書籍に
「会社と家族を守る事業の引き継ぎ方と資産の残し方ポイント46」