消費税実務が大きく変わる「インボイス制度」の開始が迫ってきました。
インボイスを発行するには、適格請求書発行事業者になる必要があります。それには、税務署に登録申請書を提出しなければなりません。
インボイス制度とは
過去のコラムでも数回テーマとして取りあげていますが、改めて解説するとインボイスとは「適格請求書」のことであり、インボイス制度とはそれら請求書の発行と保存を取り決めたものです。
「請求書に載る項目が増えること」「項目の載っていない請求書の場合、消費税の納税額が増える」という部分がポイントです。
消費税の納税額が増えるというのは、今まで利用できていた「仕入税額控除」が受けられなくなるからです。売上にかかる消費税から仕入にかかる消費税を引くことができないので、多く消費税を納税することになり、売上も下がってしまいます。
そして、新規項目の記載された請求書は適格請求書発行事業者でないと発行できないので、免税事業者にとっては今後の取引に影響が生じます。
インボイス登録申請手続きの流れ
申請書を使って手続きを行う場合、以下の流れとなります。
(1)申請書のダウンロード
国税庁のホームページより「適格請求書発行事業者の登録申請書」をダウンロードします。国内事業者用と海外事業者用がありますので注意しましょう。
(2)必要項目の記入
申請書には以下の必要事項等を記入します。
- 提出日、税務署名
- 住所又は居所、本店又は主たる事務所の所在地
- 納税地
- 氏名又は名称
- 法人の場合は代表者氏名・法人番号・事業年度・事業内容
- 登録要件の確認
記入が終わったら、記入漏れがないか確認しましょう。
(3)登録センターへの郵送
申請書ができたら、書類をインボイス登録センターまで郵送します。
管轄のインボイス登録センターは、国税庁のホームページで確認しましょう。
(4)審査後、登録完了
登録センターに申請書が届けば、審査が行われます。審査通過すると後日に登録番号記載の通知書が送られてきます。
また、登録通知にあわせて、適格請求書発行事業者の情報は、国税庁ホームページ「適格請求書発行事業者公表サイト」にて公表されることとなります。
e-Taxによる登録
国税庁のオンラインシステム「e-Tax」を使用しての申請も可能です。
ただし、e-Taxを初めて使用するには、事前に利用者識別番号と暗証番号、電子証明書の取得が必須なので気をつけましょう。
インボイスの登録状況
東京商工リサーチの調査によると、前年12月時点でのインボイス制度への全体の登録率は半分の50%程度でした。
法人登録率は高いものの、個人事業主の登録率は低水準が続いている状況です。
提出が遅れた場合の対応
10月1日のインボイス制度スタートに合わせるためには、原則3月末までに申請する必要がありましたが、未登録の事業者が多数残っているため、現在では事情を問わず9月末まで受け付けることとなっています。
ただし、登録通知が届くまでに一定の期間がかかります。その間に登録番号を取引先に報告できませんし、他の不都合が発生するリスクも考慮すると、なるべく早めに登録しておくべきでしょう。
紙による申請やe-Tax提出であっても、遅くとも8月には申請をした方が良いと言えます。
まとめ
インボイス制度の登録には、登録申請書を提出してから登録通知書が交付されるまでに時間がかかりますので、申請手続きはスケジュールに余裕をもって進めることが大切です。
仮に、登録申請書に不備があれば、さらに時間がかかることでしょう。申請期間が延びたとは言え、インボイス制度に登録することを決めているのであれば、早めの段階で登録申請を進めておきましょう。
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執筆者紹介
- 東京都町田市生まれ、神奈川県相模原市在住。
慶應義塾大学商学部卒
大学卒業後、東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)勤務を経て
平成27年独立開業。
相模原地域を中心に、多くの企業の会社設立を支援。多数の講演実績。
出版書籍に
「会社と家族を守る事業の引き継ぎ方と資産の残し方ポイント46」
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