会社設立コラム

創業前から考える、人材採用戦略

どの業界でも人材難の時代。創業を予定している段階で、人材採用戦略を考えておくのは、事業開始後のスムーズな運営に非常に役立ちます。

事業の拡大見込みがある程度分かっていれば、人手が必要になる業務が明確になってきます。その段階であわてて人材募集を開始しても、良い人材と出会える可能性は低いといえるでしょう。そうなると、業務の過多や対応漏れといった初期のオペレーションミスが発生するなど、機会損失のリスクがあります。

そこで今回は、人材採用戦略を事前に考える必要性、そして求人募集の具体的方法について解説します。

創業直後の企業は、求める人材の獲得が難しい

創業して間もないころは、社長一人もしくは少数人で事業を進めている会社も少なくありません。そのため、事業が軌道に乗るまでは目の前の業務に必死で、「採用戦略まで手が回らない!」と思われるかもしれませんが、ここ数年の人材不足は非常に深刻で、今後改善する見込みもありません。

特に、創業直後であれば「即戦力」が欲しいと思うのが普通です。しかし、スキルや実績を持ち、育成しなくても現場で活躍できる人材は、他の企業もこぞって欲しがる人材。さらに、獲得競争には大企業も参戦してくるため、知名度や安定性、福利厚生の充実した会社と比較されるケースも少なくありません。

そのため、他社より一日でも早く、そして戦略的に採用活動を行うことが重要になってきます。

採用戦略の基本と計画立案

まずは、採用の目的と、欲しい人材の人物像を明確にしましょう。創業期の企業にとって、採用のミスマッチは大きな痛手となり得るため、特に「人物像」については細かく設定しておきましょう。

  • なぜ採用が必要か?:事業のどの課題を解決するために、どんなスキルや役割を持つ人材が必要なのかを具体的に洗い出します。
  • 求める人物像の設定:スキルや経験だけでなく、企業のビジョンや価値観に共感できる「カルチャーフィット」を重視することが大切。少人数の創業期は、一人のメンバーが組織文化に与える影響が大きいため、人間性もチェックする必要があります。勢いのあるベンチャー企業であれば、「成長意欲」「柔軟性」「自走力」といった項目が重視されるでしょう。

目的と、求める人物像が定まったら、具体的な採用計画を立案します。

  • 長期的な視点を持つ:単に目の前の人手不足を解消するだけでなく、5年、10年といった長期的な事業計画に基づき、いつ、どのような人材が何人必要なのかを計画します。
  • 採用プロセスの設計:応募から内定、入社までのフローを具体的に定めます。創業期はどうしても多忙になりがちですが、なるべく担当者を1名以上つけておくことが望ましいでしょう。

採用チャネルと手法の選定

採用戦略が立案できたら、どのように人を集めるかを考えます。創業前・創業直後はどうしても知名度が低いため、採用チャネルにも工夫が必要です。

リファラル採用

創業直後の企業におすすめなのが、既存の社員からの紹介です。

既に働いている社員がからの紹介であるため、コストが低くミスマッチが少ないのが大きなメリットです。紹介する社員は会社のビジョンを深く理解しているため、カルチャーフィットする人材を効率的に見つけることが可能ですし、紹介する側にも責任が生じるため、優秀な人材を連れてきてくれるケースが多いです。

ダイレクトリクルーティング

求人サイトに登録している転職潜在層に直接アプローチする手法です。

この方法も最近では王道の手法で、求職者の職務履歴書を見て、気に入った人材にこちらから個別に連絡を取ります。その際、ポイントとなるのは「あなたの力が必要です」というメッセージを届けること。

逆に、返信がもらえないのは、テンプレート化された文言です。求職者の心に響くメッセージを書くことができれば、大手にも勝てる可能性を秘めています。

採用広報

自社サイトやSNSを活用し、積極的に会社のビジョン、カルチャー、働く環境を発信する手法です。

第二新卒までの若手社員を集めたい場合にはかなり有効で、発信する内容で好まれるのは「職場の雰囲気」「働き方、一日のスケジュール」「キャリアビジョン」などになります。

業務委託・副業からの登用

いきなり正社員として雇用するのではなく、プロジェクト単位で業務を委託し、お互いの相性を確認した上で正社員化を検討するのも有効です。

業務の進め方も分かっており、文化への理解度も深まるため、お試し期間のような形でまずはフリーランスや個人事業主の人材を探すのもいいでしょう。

もちろん、大手求人サイトへの広告掲載や、ハローワークといった旧来の手法もありますので、費用対効果を検討して、それぞれを活用しましょう。最近では、一つのチャネルに絞るのではなく、複数チャネルを活用している企業が、採用が上手くいっている傾向にあると言います。

まとめ

創業前の人材募集は、単に「人を確保する」ことだけではなく、創業後の事業運営を安定させるための重要な準備です。事業計画に基づいて、必要な人材像を明確にし、適切な採用チャネルを活用することで、欲しい人材と出会える可能性は格段に高くなります。

特に専門性が高い、節税対策や資金調達については、適宜アドバイスを受けながら進めていくことで、安定的な経営につながると思います。

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執筆者紹介

眞崎 正剛
眞崎 正剛税理士眞﨑正剛事務所 社会保険労務士法人眞﨑正剛事務所
東京都町田市生まれ、神奈川県相模原市在住。

慶應義塾大学商学部卒
大学卒業後、東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)勤務を経て
平成27年独立開業。
相模原地域を中心に、多くの企業の会社設立を支援。多数の講演実績。
出版書籍に
「会社と家族を守る事業の引き継ぎ方と資産の残し方ポイント46」