「会社を複数持っても良いのか?」と疑問を持たれる方もいますが、現行法では複数の会社を設立することは問題ではありません。
実際にいくつもの会社を経営されている方は国内に多くいます。
では、複数の会社設立を行う意味は何か。これには事業区分化もしくは節税があります。前者は事業を独立展開することで、運営をやりやすくし、融資の申請枠を増やす狙いがあります。後者は複数会社にすることで税率の軽減や、交際費枠の増加が見込めます。
複数の会社設立をするメリット
(1)事業の区分化
同じ会社で複数の事業を抱えるよりも、1つの会社に1つの事業とする方が、売り上げや収益がクリアになるので、採算管理が容易となります。採算管理が上手くいけば、適切な経営判断もしやすくなるでしょう。
また、会社を分けていると、損失や問題が発生しても他の会社はその影響を受けることがありませんから、リスク分散も可能になるのです。
(2)融資枠
会社が2つあれば、複数の金融機関から各会社に対して融資を受けられる場合があります。
なお、会社ごとに代表者を分ければ、その代表者を連帯保証人にできるので、融資が受けやすくなるメリットもあります。(1人が複数会社の連帯保証人になる場合と比較して、審査が通りやすくなるともいえます。)
(3)節税
複数の会社を持つことで、利益分散ができるので節税に繋がります。
現行の法人税税率は23.2%であり、規模の大きくない中小法人は課税所得が800万円以下の部分に15%の軽減税率が適用されます。会社が2つあれば、軽減税率も2枠使えることになります。
また、1単位当たり30万円未満の減価償却資産について、年間300万円まで全額損金算入ができる「少額減価償却資産の特例」も複数会社であれば2枠となりますし、交際費の上限枠も同様となります。
企業の交際費の上限は資本金1億円以下の法人であれば「年間800万円もしくは交際費の一部(接待を伴う飲食代)の50%」となります。(上限額は選択可能。)
詳しくは以下のコラムを参考にしてください。
なお、消費税も免税事業者や簡易課税等の特例適用は法人ごとなので、状況によっては有利に働くケースもあります。
複数の会社設立をするデメリット
(1)事業運営費用の増加
会社が2つあれば、事務作業も倍となるので、かかる費用が増えます。(営業経費や人件費、税理士や社労士への報酬など。)
(2)事業運営が煩雑となる
法人として必要な手続き(経理処理や会計処理、税務申告、社会保険の手続きなど)は二社あれば二社分求められます。仮に費用増加を抑えられたとしても、事業運営の手間は確実に増えるでしょう。
煩雑化を避ける目的で、決算期を分けたとしても、1年中繁忙期になる可能性もあります。法人を二つ持つのであれば、これらのリスクは想定しておくべきです。
(3)税務調査のリスク
会社の数だけ税務調査のリスクは高くなります。
税務調査が入った場合、2社間の間に不自然な取引がないか等、詳しく調べられます。(同じ株主の下での法人取引はある程度自由にできるからです。)
事務経費の精算や内部コストのシェアなど必要な取引もあるかと思いますが、税務調査対策として、請求書、領収書等を発行することはもちろん、金額や支払い条件もきちんと整理しておくべきです。(実体のないペーパーカンパニーは租税回避だと認定されてしまうということです。)
片方が赤字続きの場合
状況次第では会社設立後に片方が赤字続きとなる場合があります。
こういったケースで赤字会社をそのままにしておけば、事務費用や税負担といったランニングコストが増えてしまいます。
このような場合、会社を一つにまとめる選択もあります。なぜなら、会社が一つになればランニングコストの削減と赤字(繰越欠損金)の相殺が可能になるからです。
会社設立費用はいくら?
会社設立には公証役場に支払う定款認証手数料や定款謄本手数料、法務局に支払う登録免許税、印紙代など諸々含めると24万円程度のお金がかかります。(電子定款の場合は異なります。)
複数であれば、この倍の費用がかかることを覚えておきましょう。
なお、株式会社の場合、これに加えて資本金が必要です。現在では資本金1円でも設立は可能ですが、事業運営面や、対外的な信用、資金調達の観点などから考えて、ほぼありえません。ですから、会社を起こす場合は「資本金+24万円」のお金が必要になります。
まとめ
国内には、いくつもの会社を経営されている方がいます。複数会社の設立には税法上の観点などから、メリットがありますが、同時に手間がかかるなどのデメリットもあります。
そのため、複数の会社を経営する場合は現状をよく見極めた上で行いましょう。
もし、複数の会社設立を検討しているのなら、節税対策や会社設立を得意とする弊法人までご相談ください。プロの税理士が、あなたに適切なアドバイスをいたします。
「会社設立のやり方がわからない」「なかなか時間が取れない」こんなお悩みを抱えている場合は是非、相模原・町田・座間・海老名会社設立支援センターまでご相談ください。手続きの代行はもちろん、設立後の節税対策や資金調達など、支援実績が豊富な税理士法人がワンストップで問題を解決いたします。
執筆者紹介

- 税理士眞﨑正剛事務所 社会保険労務士法人眞﨑正剛事務所
- 東京都町田市生まれ、神奈川県相模原市在住。
慶應義塾大学商学部卒
大学卒業後、東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)勤務を経て
平成27年独立開業。
相模原地域を中心に、多くの企業の会社設立を支援。多数の講演実績。
出版書籍に
「会社と家族を守る事業の引き継ぎ方と資産の残し方ポイント46」
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