創業・起業するとなると「税理士を探さなくてはいけない!」と考えている方は多いのではないでしょうか。もちろん、税理士がいるメリットもあるのですが、事業を経営することにおいて、必ずしも税理士が必要というわけではありません。
特に、個人事業主においては「税理士が不要」と言われることも多くなっています。
そこで今回は、税理士に依頼しない場合のメリットや、税理士が不要だと考えられるケースについて解説していきましょう。
税理士が不要だと言われる理由は?
税務処理というのは、事業を運営する上で非常に重要な作業です。ですが、本業とは別に時間を取らなくてはいけないので、業務に支障をきたす恐れがあるのも事実。
税理士と契約すれば、税務処理をお任せできるので非常に楽なのですが、それでもなぜ「税理士は不要」だという声も多く上がっているのでしょうか。
その理由は次の通りです。
技術が進歩し、会計ソフトが充実している
近年の会計ソフトは、AIやクラウドベースの技術が駆使され、税務処理が手軽にできるようになっています。
例えば、「freee」や「弥生会計」のようなソフトウェアは、領収書のスキャンからデータ入力、確定申告書の作成までを自動で行うことが可能です。
勘定科目についても、自動的に設定されることもありますし、もしそれが違っていても選択肢の中から選ぶようになっており、初心者でも格段に使いやすくなりました。また、ソフトウェア自体がクラウド化されたことで、容量の大きなソフトをパソコンにインストールする必要もなくなっています。
簡単に税務情報を得られるようになった
現代はインターネットが発達し、わからないことがあっても、検索すればすぐに情報を手に入れることができるようになりました。税務処理の基本的な知識からやや専門的な知識まで、かなり幅広く情報を入手することが可能です。もちろん国税庁のWEBサイトでは、正確な情報を入手できます。
税理士によるブログやYouTubeでは、個々の法律や税務処理について、わかりやすく解説しているものも多くあります。手軽に学べるという環境は、税理士が不要だと言われる一つの理由でもあります。
以上の2点が、税理士が不要、つまり自分で税務処理ができると言われる理由です。
税理士に依頼しないメリット
では、自分で税務処理をするメリットについて見ていきましょう。
税理士への支払いコストの削減
税理士に依頼をしない最大のメリットは、コストの削済でしょう。税理士への報酬は、特に小規模事業だと大きな負担になり得ます。
会計ソフトを導入する場合、その使用料などで初期投資は必要ですが、長期的に見ればそのコストは税理士への支払いを下回ります。
税務知識・ノウハウを内部に溜めることができる
さらに、自分で税務処理を行うことで、確実に知識と経験を積むことができます。はじめは難しいと感じた決算や確定申告も、数年もすれば慣れてくるでしょう。外部への依存を減らすことは、事業の自立性を高めることにつながります。
税理士とのやりとり業務がなくなる
税理士に依頼をすれば、当然ですが税理士とのコミュニケーションが発生します。ところが、中にはこのコミュニケーションを負担と感じる経営者・個人事業主も多いのです。
当然、相性が合わなければ、やりとりが億劫になりますし、税理士の中には税務処理に乗り気でない人も稀に存在するので、そうした人の場合は、別の税理士を探すといった手間も発生するでしょう。
税理士が不要だと考えられるケースは?
では、以上をふまえて「税理士が不要」だと考えられるのは次のような場合になります。
事業規模・売上が小さい
創業したばかりの方や、個人事業主である人は、税理士が不要であることも多いです。一般的に「売上1,000万円以下」であれば、自分で税務処理を行える範囲だと言われています。
この規模であれば、年間の収入と支出を自分で管理し、それを元に決算書や確定申告書を作ることは、難しいことではありません。
時間に余裕がある人
本業が自分の手をほとんど離れている場合や、家賃収入が主な収入だという場合など、時間に余裕がある人は、経費削減のために、自分で税務処理を行うことも可能です。
税務は複雑なのですが、国税庁WEBサイトやインターネットで調べて、帳簿を完成させることは不可能ではありません。税金に関する知識を勉強する余裕がある人は、自分で税務処理を行ってもいいでしょう。
まとめ
税務処理は複雑で難しいものではありますが、正しく行えるのであれば、必ずしも税理士に依頼する必要はありません。税理士は「税務処理の代理」を行う資格を持っている人のことで、税務処理を自分で行うことができれば依頼しなくても問題はないのです。
ただ、現実的には、多くの企業が税理士と顧問契約を結んでいます。特に、法人の決算は、個人事業主のそれとは比較にならないほど煩雑です。そのため、税理士に依頼せずに済む人というのは、実は少ないのかもしれませんね。
執筆者紹介
- 東京都町田市生まれ、神奈川県相模原市在住。
慶應義塾大学商学部卒
大学卒業後、東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)勤務を経て
平成27年独立開業。
相模原地域を中心に、多くの企業の会社設立を支援。多数の講演実績。
出版書籍に
「会社と家族を守る事業の引き継ぎ方と資産の残し方ポイント46」
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