合名会社は新規の設立が可能な会社形態のうちの1つです。しかし、設立数は株式会社や合同会社と比べると多くありません。
なぜなら、合名会社設立にはメリットがあまりないからです。
本コラムでは、合名会社についての概要や、メリット・デメリットについて詳しく説明いたします。会社設立では、より良い選択をするためにも各会社形態をしっかりと把握しておく必要があるので、是非参考にしていただければと思います。
なお、他の会社形態である「株式会社」や「合同会社」・「合資会社」の特徴については以前のコラムで説明しておりますので、そちらも参考にしてください。
合名会社とは
合名会社は、無限責任社員のみで構成される会社で、社員1名でも設立が可能です。
出資者全員が経営者となる点が株式会社とは大きく違う点と言えるでしょう。個人事業主が集まった組織形態とも言えます。
出資者は全員無限責任社員となるので、会社の倒産危機は出資者自身の資産危機に直結します。
そのほか、合名会社の特徴としては、合同会社と同様に、定款における柔軟な会社設計が認められており、株式会社に比べて規制が少ない点が挙げられます。
ちなみに、株式会社が(株)と表記されるのに対し、合名会社は(名)と表記します。
無限責任社員とは
無限責任とは、会社が倒産した場合に、債権者に対して負債総額の全額を支払う責任があることです。
会社の負債は、所有資産を処分しても返済する義務があります。よって、最悪の場合、自己破産に追い込まれる可能性も十分にあります。
無限責任社員は有限責任社員と比べると、リスクと負担の差があまりにも大きいのです。有限責任社員は出資額が上限となっているので、それ以上の責任は負いません。
先述したように、合名会社は無限責任社員のみで構成されています。そのため、経営者にかかる負担は多大なものになるでしょう。
合名会社のメリット
(1)株式会社と比べて設立費用が安い
合名会社は設立費用が安く、株式会社と比べると違いがかなり大きいです。
設立費用についても最低で6万円程度と、株式会社の半分程度の費用しかかかりません。
(2)金銭による出資が不要
株式会社・合同会社の場合、最低1円以上の金銭もしくは財産を資本金として出資しなければなりませんが、合名会社の場合、金銭による出資でなくても会社設立ができます。
具体的には、信用や労務などでも出資可能です。
(3)定款作成や会社運営の自由度が高い
合名会社の定款には法律による制限があまりありません。株式会社は法律上の決まりが多く、様々な規制が付きますが、合名会社はその心配をしなくて大丈夫です。
比較的柔軟に定款作成と会社運営ができるため、経営者自身の理想を設計に反映させやすいでしょう。
(4)決算公告が不要
株式会社と違って、合名会社では決算公告の義務はありません。
そのため、会社の決算書を作成するための手間がかからず、会社運営や事業に集中できます。
合名会社のデメリット
既に述べていますが、合名会社の一番のデメリットは、社員がすべて無限責任社員であることです。無限責任社員である以上、抱えるリスクは重いものになります。
また、個人事業主が集まってできているような組織形態ですので社員間の信頼関係は強いですが、一旦対立してしまうと会社の経営が立ち行かなくなる可能性もあります。
役員の任期を設定している、株主総会で解任の決定ができる株式会社とは対応が異なります。
また、先に挙げたメリットは株式会社と比較したものであり、実は一部は合同会社でも得られるメリットなのです。要するに、合同会社と比較しても、合名会社はそれほどメリットがないのです。
まとめ
合名会社はデメリット部分が大きいので、新規の設立数も少なく、国内では少数です。これは、前のコラムで説明した合資会社と同じです。
はっきり言って、合名会社を選ぶ特別な理由はなく、現代においては必要性の低い会社形態です。
会社設立には形態の選択も重要になってきますので、こうした事情も理解した上で最適なものを選ぶようにしてください。
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執筆者紹介
- 東京都町田市生まれ、神奈川県相模原市在住。
慶應義塾大学商学部卒
大学卒業後、東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)勤務を経て
平成27年独立開業。
相模原地域を中心に、多くの企業の会社設立を支援。多数の講演実績。
出版書籍に
「会社と家族を守る事業の引き継ぎ方と資産の残し方ポイント46」
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