起業した後や会社設立時に創業融資を受ける場合、返済期間はどのくらいになるのか把握しておかなくてはなりません。
返済期間は申請先の機関や利用する融資制度によっても上限が変わります。
無理な返済計画にしてしまうと、経営に支障が出るので返済期間は慎重に考える必要があります。
返済期間の上限はどれくらいか
融資を受ける場合、お金をいつまでに返すかという「返済期間」を決めます。
日本政策金融公庫の創業融資では、返済期間は運転資金と設備資金で変わります。運転資金はおよそ5年~7年、設備資金ではおよそ5年~10年となっています。(返済期間の上限は利用する融資制度によって年数が異なりますので制度ごとに確認してください。)
返済期間の考え方
返済期間の考え方として、長ければ長いほど良いと考えるのは危険です。返済期間が長ければ、毎月の負担は軽くなりますが、返済期間が長い分、支払利息額が重くなります。
逆に考えれば、返済期間が短いと返済の完了は早く済みますが、月々の返済負担が重くなります。
返済期間を適切なものにするには、毎月の利益をしっかりと予測した上で計算します。加えて、事業を行う以上、予測不可能なことも起こるので、ある程度手元に現金を残せるようにもしておきましょう。
重要なのは「無理のない程度に」期間を設定することです。
返済期間はいつから始まるのか
創業融資の借入金が入金された翌月から返済期間は始まります。
売上金から仕入や経費を引いた利益から返金を捻出していくことになります。もし、利益が出ないならば、事業資金ではなく、自己資金など手持ちの資金などから返済していくことになります。
ちなみに、返済するお金のうち、利息部分は経費として計上できます。(元本の返済部分は経費にならないので注意しましょう。)
据置期間とは
返済期間を考えるうえで、「据置期間」も押さえておかねばなりません。
据置期間は元本を返済する必要がなく、金利のみの返済が認められています。
創業直後は経営が軌道に乗らず厳しい資金繰りを強いられることが多いと言えます。そのため、据置期間を設定し、利息返済のみの期間を設けていれば楽でしょう。
据置期間は、あくまで猶予期間なので、設定するかどうかは、売上と売上入金がいつ頃なのかを正確に見極められるかがポイントになります。
もし、すぐに売上が生まれ、現金化できて利益が確保できる明確な見通しがあるなら、据置期間を短く設定する、もしくは据置期間を設けないというのも一つの手です。
据置期間のメリット
(1)資金繰りに余裕ができる
起業直後や会社設立後は安定して利益を出すまでに時間を要します。
そのため、据置期間を設定しておくと資金繰りに余裕ができるでしょう。
(2)事業に集中できる
事業スタート後の返済負担が少なくなるので、気持ちに余裕ができ、事業にも集中しやすくなるでしょう。
本業に集中できた方が、安定経営に繋がる可能性も上がるでしょう。
据置期間のデメリット
(1)据置期間終了後の支払い負担が増える
据置期間も返済期間に含まれます。そのため、据置期間を設定しなかった場合と比較して、据置期間終了後の返済額は大きくなります。
据置期間を設定することで、事業に集中できる期間もとれますが、その間に事業が軌道に乗らなければ、運転資金の工面に苦労する可能性が出てきます。
(2)支払い利息の総額が大きくなる
据置期間を設定する方が、しない場合よりも支払い利息の総額が大きくなり、返済の総額も通常より増えてしまいます。
据置期間の長さ、融資額の大きさによって、支払い利息および返済総額の差は大きくなります。そのため、むやみに据置期間を長く設定すると、後々の負担が大きくなります。
まとめ
創業融資の返済期間について説明いたしました。
返済期間を適切にするには、毎月の利益をしっかりと予測した上でシミュレーションしましょう。 大切なのは「無理のない程度に」期間を設定すること。予測不可能なことも見越して、余裕は持っておきましょう。
なお、創業融資の審査通過の確率を少しでも上げたいのであれば、専門の税理士のサポートを受けることをお勧めいたします。
創業融資に強い税理士なら、審査の要点を押さえた創業計画書の作成が可能な上、融資面談にも同席するので、審査通過を確実にしてくれます。
創業融資は一度落ちてしまうと、再チャレンジにも時間がかかります。
創業を遅らせないためにも、是非利用してください。
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執筆者紹介
- 東京都町田市生まれ、神奈川県相模原市在住。
慶應義塾大学商学部卒
大学卒業後、東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)勤務を経て
平成27年独立開業。
相模原地域を中心に、多くの企業の会社設立を支援。多数の講演実績。
出版書籍に
「会社と家族を守る事業の引き継ぎ方と資産の残し方ポイント46」
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